睡眠障害の専門家は警告する。
メタボリック症候群(BMI25以上)の人は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)にも注意を!
睡眠障害のひとつ、SASは寝ている間に起こっているため、自覚症状のない人も多い。
放置すれば動脈硬化や心筋梗塞の原因にもなりかねないので、メタボリック気味の方はリスクを疑ってみることだ。
なお、正しく診断するには、専門医療機関で終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)を受診することをおすすめしたい。
今や日本人の5人に1人がなんらかの睡眠障害に
悩まされているといいます。
睡眠障害には、
1.眠りつくまでに時間のかかる入眠障害
2.本来起きるべき時間より数時間早く
目が覚めてしまう早朝覚醒
3.眠りついてから何度も目が覚める中途覚醒
4.睡眠時間は十分だが、眠りが浅く
目覚めたときに満足感を感じない熟眠障害
とあります。
それぞれの睡眠障害には異なるパターンがありますが、
これらの大きな違いは「眠りたくても眠れない」
という状態と、
「眠ってはいるがどうも熟睡はできていない」
というタイプに分けられます。
特にここ数年注目されているのが、後者のタイプです。
熟睡ができない人は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の
疑いがあるといわれています。
2003年に山陽新幹線の運転士が居眠り運転を
したというニュースでも注目を浴びましたが、
SASとは睡眠時に呼吸が止まって熟睡が
できていないために日中に倦怠感や眠気がおこったり、
イライラしたり、カッとなる、集中力がない、
などの状態に陥る症状のことです。
医学的には、睡眠中1時間あたりに5回以上の
呼吸が停止している人がSASと診断されます。
虎の門病院呼吸器科の成井浩司医師は、
「SASの患者のデータをとればとるほど、
メタボリック症候群との関係が深いと感じる」といいます。
図Aのように、軽度のSAS患者では46例中
メタボリック症候群の合併は15・2%ですが、
重度のSAS患者130例では49・2%と、
ほぼ1/2の確率でメタボリック合併を
引き起こしているというデータもあります。
というのも、SASは肥満体型の人に起こりやすく、
寝ている間に大きないびきをかくことが特徴です。
肥満体型の人は、のどのあたりにも脂肪が多いため、
気道が狭くなりがちなのに加え、
睡眠中は舌の付け根が弛緩して、
気道をさらに狭くします。
そのため、空気が通りにくくなり、呼吸が停止し、
苦しくなったらガーッという音をたてて
呼吸を始めるのです。
成井医師は、
「こうした症状は、高血圧、高脂血症、脳梗塞、
動脈硬化なども引き起こしやすいので、
メタボでSASの自覚症状はないという人は、是非疑ってみてほしい」と注意を促します(図B)。
事実、高血圧(63.8%)脂質代謝異常(51.1%)など、
生活習慣病との合併症を患っているSAS患者はかなりの数に上ります。
ただ、SASは肥満だけが原因ではなく、「骨格」と「年齢」にもよるのだそうです。
「日本人は頭蓋骨の奥行きが狭く、のどを圧迫しやすい構造となっています。
特に最近の若い人は顎の小さい人が多くその傾向があります。また、年齢と共にのどの筋肉が衰え、
SASの症状が出るようにもなります」(成井医師)
寝ているときに起こるSASの状態は、意外と本人は気づかないものですが、自己診断の方法もあります。
「以前に比べてイライラしたり、だるい、集中力が低下したと感じる人や、追いかけられる、
溺れるなど苦しむ夢を頻繁に見る人はSASを疑ってください」(成井医師)
治療の多くのケースには、シーパップ(CPAP)と呼ばれる機械を使います(図C)。
就寝中にCPAPを装着し、呼吸が止まると鼻から空気が送り込まれる仕組みであり、
呼吸が止まることなく快眠を得ることができるというわけです。
SASの治療を専門とする虎ノ門スリープクリニック(東京都港区・前野健一院長)では、
保険の適用が利く簡易型の検査機器を使ってSASの程度を調べることができます。
重度の場合、保険適用でCPAPを1ヶ月5000円程度でレンタルすることができます。
「CPAPをつけると眠りの質が良くなって、起きたときに頭がスッキリしたという患者さんは多くいらっしゃいます。
体調もすぐに変わってくるのがわかるようになるはずです」(前野院長)
何時間寝たから良いというのではなく、どれだけ良質な睡眠をとったかがより重要なのです。
取材・文/田中 響子(オフィス セブン・シーズ)