6階のエレベーター扉が開くと、メタリック・グリーンの巨大な板硝子が、
圧倒的なスケール感をもって訪問者を出迎える。ケージから降りれば、
突き当たりの壁までの距離は2メートル余。
天井から壁、床に至るまでいちめんの白い視野を切り裂いて、
板硝子は壁のほぼ中心線に沿って嵌め込まれ、左手奥の廊下の突端までまっすぐ伸びている。
エレベーター正面に当たる硝子の内側には「Grandir」の社名とロゴマークが掲げられている。
東京・西新宿にある「株式会社グランディール」の本社オフィスは、
甲州街道沿いのテナントビルの1フロア約75坪を賃借している。
現在のオフィスに移ったのは2006年12月。
移転前の本社は賃借面積15坪前後だったということからも、同社の急成長の過程がうかがわれる。
現本社のデザインは、数社によるコンペの結果、インテリアデザイナー・辻中浩佑が選ばれた。
同社の求める企業イメージである「誠実さ」と「清潔感」を体現してみせた辻中の
デザインコンセプトが高く評価されたためだ。
スペース的な限界や改装が許される条件など、賃貸物件である以上避けられない数々の制約の中で、
辻中は見事に、重厚かつ親し成長を刻む空間。
高額商品である不動産物件の商談にも使用されるため、大会議室は木目調のテーブルと
黒い革張りの椅子が重厚な雰囲気を演出しているみやすいオフィスを提案している。
施工ディレクションに際しては、移転当時は社外の独立した施工会社であり、
後に同社の組織の一員として社内ブランドを形成することになる
「wa-dless」(ワードレス)事業部がプロデュースした。
ワードレスとは「和+ dress(=和を装う)」と「wordless(=言葉はいらない)」の二つの意味を持ち、
同社の主力商品である投資用デザイナーズマンションなどの
デザイン設計施工のトータルプロデュースを手がける事業部の『屋号』あるいはブランドネームだという。
フランス語で「成長していく」という社名の通り、
同社のオフィスは経営トップ以下メンバー全員が20〜30代という
若い企業の活力と将来性の象徴としても機能しているようだ。
エレベーターホールの柱は鏡張りになっており、エントランスの板硝子とともに限られた空間を無限大の広さにも感じさせる
撮影協力 =株式会社 グランディール
インテリアデザイン = 株式会社 ワックス・トラックス 写真/デザイン = 川端智幸