細部まで凝りに凝った意匠が楽しい7階スタジオ。
天井の梁はFRP製、照明はタングステン光の蛍光灯だが、右手に見える壁掛け電話は本物
京成本線「国府台」駅から徒歩30秒。
「株式会社アートバリエトップ」の市川オフィスは
現在地下1階と2階、3・5・6・7階の一部を賃借しているが、
約250坪におよぶ総使用面積の隅々に至るまで、
ほかでは類例を見ない独創的なデザインポリシーを貫いている。
同社のデザイン設計は、代表取締役プロデューサー・大木小四郎が自ら手がけた。
グラフィックデザイナーであると同時にインテリアデザイナーであり、
イラストレーターであり、フォトグラファーでもある大木は、
海外や国内旅行の際に「面白い」と感じた風景を写真と記憶に残し、
オフィスの改装時にアレンジして採り入れてきたという。
施主自身が図面を引き、完成図をイラストに描くことで、
施工業者にイメージが正確に伝わり、頭に思い描いた通りのデザインを再現できるのである。
大木はさらに、デザインの背景となるストーリーを考えた。
たとえば、同社7階のスタジオ兼用会議室には
「大正年間、アメリカ中西部を旅行した音楽家が、帰国後に邸内に作らせた居間」といった
独自の物語が与えられている。
こうした「遊び心」と「こだわり」、そして「仕掛け」が、
同社のオフィスの随所に散りばめられている。
地下1階と2階の制作室はライブカメラで相互中継され、
2階窓際のミーティングスペースは喫茶店風の床とテーブルセットに
「カフェ・ド・バリエ」の看板まで作り込んでいる。
また、制作室の天井に設置されたファンはたんなる装飾ではなく、
実際に空調の効果をコントロールする役目も果たしているのである。
オフィスデザインはリクルーティングの一つである、というのが大木の考えだ。
これを裏づけるように、同社の新卒採用募集には毎年応募者が殺到し、
取材当日にも50人の応募者が訪れている。
09年度新卒者は3000人の面接を予定しており
「千葉県内の企業で、オリエンタルランド(TDL&TDS)に次ぐ応募者数」だという。
クリエイターのモチベーションと創造性を刺激する無二の空間が、ここにある。
撮影協力 = 株式会社 アートバリエトップ
インテリアデザイン = 大木小四郎(株式会社 アートバリエトップ)
写真/デザイン = 川端智幸