乱脈融資で経営が悪化した新銀行東京は2008年4月30日、東京都を引受先とする400億円の追加増資を実行した。増資は普通株ではなく優先株で行なわれるが、これは「400億円を毀損させないように適切な監視に努める」という都議会の付帯決議がついているためだ。
新銀行東京は中小企業への『貸し渋り』『貸しはがし』が大きな社会問題となっている03年、石原慎太郎都知事の肝いりで始まった中小企業向けの無担保・無保証融資を実行するためにBNPパリバ信託銀行を買収して04年4月1日、設立された。
ところが開業が遅れ、スタートしたのは05年4月1日。その間、メガバンクが先行する形で無担保・無保証融資を進めた。
「金利面ではメガバンクの方が安かったために優良顧客がメガバンクに流れ、結果的に新銀行東京にはリスクの高い顧客が集まった」(金融業界事情通)。
さらに融資そのものが伸び悩んでいる中で、融資先を拡大した営業マンには報奨金をつけたため、営業が暴走。結果的に不良債権が急増した。
新銀行東京調査委員会の調査報告書では暴走の実態について次のように書かれている。
「営業担当者(契約社員)に融資実行実績に応じた成果手当( 最大で年間200万円)を支給する一方で、デフォルト発生を不問とした」「06年1月より、融資実行後6ヵ月以内にディフォルトが発生した場合は成果手当から控除したが、6ヵ月を超えた場合は満額支給とした」「このような業務執行の結果、営業担当者の間にはデフォルトの発生を軽視したモラルハザードが広まった」
こうした状況の中で05年下期、新銀行東京の27億円のデフォルトが発生、7億円の損失を計上、大きな社会問題となった。
そして06年12月になると、「大量のディフォルトが発生し続け、デフォルトは累計285億円までに拡大し、大幅な経営悪化に結びついた」(「調査報告書」より)
そのため08年4月以降は無担保・無保証融資を原則禁止。今後既存の無担保・無保証融資先が借り換えを要請してきた場合は原則として信用保証協会の保証を、新規融資は担保や保証を求める方針だ。
こうした中で金融業界の中では改めて無担保・無保証融資のあり方が問題となっている。
大手メガバンクの幹部が語る。「新銀行東京と直接関係はありませんが、05年ごろに偽装決算書を使って無担保・無保証融資を悪用する事件が横行し、それ以降、審査の基準は年々厳しくなっています」(メガバンク幹部)資金調達の手段の少ない中小企業にとっては厳しい時代となっている。