吉野家ホールディングスのグループ会社で持ち帰りすしチェーンの京樽が、健康保険組合を9月1日付けで解散した。
高齢者医療制度の拠出負担の増加などが理由だという。
8月には西濃運輸も健康保険組合を解散しており、今後保険組合の解散が続出する恐れも出てきている。
日本の健康保険制度の根幹が今、揺らぎ出している。
健康保険制度は鉱山労働者など危険な事業に就業する一部の労働者を対象に1922年に制定され、
27年に施行された。
その後市町村の運営する健康保険制度が整備され、61年に国民皆保険が達成された。
健康保険には大きく分けて被用者を対象とした被用者保険と個人事業者や無職者などを対象とする
国民健康保険があり、被用者保険の中にはさらに健康保険組合を持たない企業の従業員で構成する
政府管掌健康保険(政管保険)と企業や企業グループで組織される組合管掌健康保険(組合保険)、
公務員の共済組合などから構成されている。
組合保険は現在1518組合存在するといわれ、
加入者数は3051万人、国民健康保険(5127万人)、
政管保険(3595万人)に次ぐ日本の保険制度の柱と
なっている。
ところが組合保険は老人保険拠出金や
退職給付拠出金の増加で財政状況が逼迫、
02年度のけんぽれんの経常収支は過去最悪の
3999億円の赤字となった。
その後03年度には患者窓口負担を2割負担から
3割負担に引き上げ、ボーナスを保険料の
算定対象にする総額報酬制度の導入し、財政基盤を強化。
さらに2年に1度の診療報酬改定で02年から06年度まで
マイナス改定が行なわれ、06年までの4年間は経常収支は
黒字を維持してきた。
ところが07年度に入ると、老人保険制度の対象年齢を
75歳まで引上げ、さらに団塊世代の退職者増による
退職給付拠出金が増加、そのため経常収支は06年度の2372億円から599億円に減少した。
組合数は95年(1819組合)から減少を続け、07年3月末は前年3月末の1541組合から23組合が減少し、
1518組合となっているが、赤字組合は04年度から178組合増加し、
全体の4割にあたる680組合が経常赤字に転落しているという。
そのようななか、組合解散の動きは大手にも波及してきた。
最初に組合の解散を決断したのが西濃運輸だ。「他社の事情はわからないが、
私たちは平成14年(02年)ごろから解散を考えていた。それがたまたまこのタイミングになっただけだ」
(西濃運輸広報担当者)と説明。
そして、西濃運輸に続いて解散を明らかにしたのが京樽だった。
京樽では「前期高齢者医療保険の創設で保険料率が10%を越え、立ち行かなくなった」とその実情を説明している。
これは何も西濃運輸や京樽ばかりではない。
今後保険組合の動向について、けんぽれんはホームページの中で
「20年度(08年度)は制度改正に伴う新たな高齢者医療制度の創設により、『後期高齢者支援金』、
『前期高齢者納付金』等の負担が、旧制度における拠出金等の負担を大きく上回る見通しである。
赤字を計上し、赤字組合も9割に達すると見られる」と記している。